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2007年 05月 16日
友人のFMさんから、デュッセルドルフ郊外にシャクナゲが満開の庭園が
あると教えていただいたので、土曜日に出かけてみた。 中央駅からDuisburg方面へ電車に乗ること27分、降りる駅が近づいたので、 ドアの前に立っていると、電車はやや徐行したものの、私の目の前で、 スゥーと通過するではないか。ガーン。 駅は、畑の真ん中のある無人駅。仕方がないので、次の駅で降りて、反対方向 へ行く電車を待つこと10分。今度は通過されてはかなわないので、乗客に 聞くと、Halt-Wunsch(停車希望)というボタンを押すべしと。 ははあ、なるほど、乗降客の少ない駅は、そういうことになっていたのね。 なにしろ、この駅の名はFroschenteich駅(カエル沼)だもんね・・・。 畑の中の駅前に薄むらさき色の畑が。よく見ると、ネギの種類のようだ。 食用なのか、園芸用なのか・・・。目指す庭園はHeltorf公園という名で、今は 州が管理しているが、元々18世紀末のシュペー伯爵の庭園だったということだ。 おお、見事なシャクナゲの大株! あちらにも、こちらにもこぼれんばかりに 咲いている。 シャクナゲの花というのは、大振りの房についていて、じつに派手な作りだ。 そして、どこか、東洋の美女の笑みのような妖艶さがある。 その園に入場料を払って入った者は、どうやら私一人であったようで、54ヘク タールの庭園を数時間歩き回ったが、人影もなく森閑としているのである。 歩けば歩くほど、この伯爵とは、どんな方だったのか・・・。そして、 なぜ、これほどまでのシャクナゲのコレクターになったのか・・・。 果てしない秘密の花園を歩き回っているうちに、この館で催されたであろう五月 の園遊会の様子などが幻のように浮かんできた。 シュペー伯爵(Maximillian Graf von Spee 1861-1914)は、第一次大戦のころ、 ドイツ艦隊の総司令官だった人で、中国、青島(チンタオ)に駐留していた。 ふむふむ。おそらく、その時に、彼とシャクナゲとの劇的な出会いがあったに 違いない。 伯爵は、チューリップにも、バラにも見出し得ない東洋の美をシャクナゲに見た のではないだろうか。 弱そうに見えて、強靭。大振りで色香があるこの花に、心惹かれたに 違いない。シャクナゲは、ロードデンドロン(Rhododendron ツツジ科)という 舌を噛みそうな名で呼ばれ、おびただしい数の園芸種がある。 一つ集めれば、また、次の品種が欲しくなり、そうやって何十種類もの珍種が ここに集められ、植え込まれたのだろう。そのシャクナゲらは、百年以上も 生きのび、ここで妖艶な花を咲かせ続けているのだが、主である伯爵は、フォ ークランド沖海戦で戦死する。彼の名を冠したアドミラル・グラーフ・シュペーと 呼ばれた装甲艦も戦局が思わしくなくなり、ウルグアイの海に自沈した。 中国の青島に、だいぶ前に行ったことがある。中国風ではない洒落た洋館が 海岸の松林の中に建っていた。そこから済南方面へ行く鉄道で、曲阜、泰山へと 足を伸ばした。1898年以降、ドイツはこの地方の鉄道敷設権や鉱山採掘権を 一手に握って支配していた。シュペー伯爵は、ドイツ海軍の極東における本拠地 の長であった人物である。その人がシャクナゲを愛していたとは・・・。 この庭園を訪れて初めてわかったことである。
by tamayam
| 2007-05-16 13:46
| 日々のできごと
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